七転び八起き

こんな人間もいますよ

18回

その後どの様に過ごしたのか正直ハッキリ覚えていない。

 

夫婦で一緒に築き上げた事業。終わりがみえたのは8年目。

今思えば7年間は順調にいっていた。中期計画の10店舗出店が確定。長期計画は事業開始から15年で30店舗出店だった。

ただその8店舗目が終わりの始まり。

ゴリラの事業はコンビニのフランチャイズ。短期間での事業展開も無理なく予定通りに進んでいた。事細かく話すと凄く長くなる。

結論、この事業を選んだゴリラが悪いし、本部の言葉を信じたゴリラが悪い。

悪いが、本部の人間5人(全て役職)に組織ぐるみで騙された。

フランチャイズは契約書が命」なので契約をするたびに契約書を読み、わからないところ、解釈の仕方を顧問の士業の方々に聞いたり、本部に確認したりしていた。

フランチャイズ契約書を説明をする本部社員は意味を理解していない。なので本部の法務部に必ず確認をする。その回答に3ヶ月はかかる。一般社会からすると有り得ない事。

そういうのを理解したうえでこの事業を始めた。ゴリラは法の専門家でもないので、やりとりの証拠を残すために本部に顧問弁護士の同席やボイスレコーダーの承諾をお願いしても拒否し続けられてきた。当時の顧問弁護士も「?」という顔をしている。

巷で言われているコンビニのフランチャイズビジネスの闇は大半そうだと思う。ただゴリラが経験してきたものとは少し違う。

加盟者として経験された方、専門家の意見、本部側の方の意見とも、ゴリラとは違う。

 

 

 

続く

 

17回目

長男を保育園に送り病院に。退院だ。

その日は連れて帰って初めて家族4人で過ごす。

ここの記憶がない。

その日の記憶がない。

楽しみにしていた家族の時間の記憶がない。

なぜだろう。

 

次の日、

長男を保育園に送り火葬場に。

ほんとは家族四人でドライブをしたかったがそうもいかない。

セカンドシートに次男を乗せてケイコが話しかける。

ゴリラは必死で平常心を保つ努力した。できていたのかわからない。

ほんとに明るい表情で話しかける。カーナビの指示通りに運転をする。

その日は暑かった。暑かったから次男が傷まないように綺麗な体で天国に送ってあげたかった。

火葬場についた。僕らしかいなかったから待たずに通された。

ここからあんまり記憶がない。二人とも震えていた。経験したことのない恐怖というかなんというか。。。そこしか覚えていない

棺を台に乗せて火葬する時、ケイコが取り乱した。

後にも先にもこれほど取り乱したケイコは見たことがない。

ゴリラ以上に次男を感じて、

ゴリラ以上に会うのを楽しみにしていて

ゴリラ以上に長男と一緒に過ごす事を望んでいた。

当たり前だ。

棺から離れないケイコをゴリラは引き離す。

ゴリラも許されるのであれば連れて帰りたい。

そうもいかない。

どれくらいの時間が経ったのか、

ケイコが棺から離れて、火葬。

火葬が終わるまで待った。

遺骨はもう、ほんと、少ししかない。

小さな小さな体だから仕方がない。

心から謝罪。

ゴリラ「ごめんな。お父さんは次男が好きやで。」って言っていた。

ケイコはしっかり遺骨を集めていた。少しでも多くの遺骨を。

小さな小さな入れ物にいっぱいになった。

ケイコ「次男。さぁおうちに帰ろう」

そうだ。1番辛いのは次男だ。

母親の顔をしたケイコを心から尊敬した。

 

 

続く

16回目

姉達が帰り、長男を保育園に送り、仕事済ませて昼過ぎに花屋さんへ。

ひまわりを買って病院に向かった。病室には次男とケイコがいた。

凄く疲れているようだった。寝れてないかもしれない。

次男の周りにひまわりを並べた。やっぱり似合う。ほんまに可愛い。

2人とも涙が止まらない。何を話したか覚えていない。

次の日は退院するので簡単な荷造りをして、今日持って帰るものを仕分けた。

気がつくともう迎えの時間。

ケイコにゆっくりする様に伝えて少し早めに保育園に迎えにいった。

帰りの車で長男に、

ゴリラ「何食べたい?」

長男「お寿司ーーーーー!」

ゴリラ「食べにいくか!」

うん「いくーーー😊」

満面な笑顔でお寿司を食べにいった。

長男は偏食で白い物しか食べなかった。

お米・豆腐・うどん・食パン(耳食べない)・サラダチキン・卵(白身だけ)

お寿司屋さんのおかげで、茶碗蒸し、卵(握り)を食べれるようになった。感謝しかない。

帰って久しぶりに一緒にお風呂に入って、寝た。

長男が寝てから保育園の用意と洗濯。

もうクタクタ。寝ようとしたら仕事の電話。

ゴリラのミスで契約書を持って帰ってしまった。朝一に職場に届けないといけない。

逆算して、5時50分起きか。

アラームを3つ合わせて寝た。

この事は何故か今でもしっかり覚えている。トラウマになったのか。

 

続く

15回目

朝から長男と病院に。ケイコは体調が昨日よりも良くなっているようだ。

でもケイコの表情が少し暗いように見えた。一時間くらいしてケイコに聞いた。

ゴリラ「どうした?」

ケイコ「。。。。。」

ゴリラ「無理しないで。寝る?」

ケイコ「長男と会うのが辛い。。。」

ゴリラ「そうやな。早めに帰るな」

ケイコ「うん」

といいケイコは目に涙を溜めていた。

そのあと長男と次男が対面。

 

これが家族4人で過ごす最後になる。

 

その事はケイコもゴリラもわかっていた。

予定では2日後に退院。そのまま火葬の予定となっていたからだ。

次男のために持ってきたいくつかのおもちゃ。長男が遊んでいたおもちゃを棺の中に並べる。

何枚も何枚も写真を撮った。

ほんとに素晴らしい時間。これが最後になるなんてほんとになんでだ。もうなんでた。

その時間もすぐに終わる

助産師さん「そろそろご遺体を。。。」

ゴリラ「わかりました」

次男が連れていかれる。

その後長男と帰ることにした。

 

ケイコ「わがまま言ってごめん」

ゴリラ「わがままと違うよ。なんかあったら連絡して」

ケイコ「うん」

 

帰って少ししたらケイコからLINE

ケイコ「火葬する前に花を添えたい。何がいいかな?」

ゴリラ「ひまわりは?」

ケイコ「いいね!」

ゴリラ「月曜日持って行くね。」

 

ひまわりは僕達の結婚式で使った花だ。次男にもきっと似合う。

 

 

続く

13回目

いつも通り保育園に送り病院に。

病室にはケイコがいた。今朝から歩けるようになっていた。体は回復している。良かった。

少し話した。その時仕事の電話。業者からで一旦会社に行くことになった。

すぐに病院に。ケイコが泣いていた。

何も言わず椅子に座った。しばらくしてケイコが話始めた。

ケイコ「助産師さん(しっかり名前は覚えていない)がきて話をしたの。こういう時の専門の人みたい。話の内容はね」

(ゴリラが覚えている事)

助産師さん「お子さんの状況を先生からお聞きしてカルテをみました。次男ちゃんともお会いさしていただきました。昨日長男ちゃんも廊下でみました。ご兄弟とても似てますね。ママさんに似てとても可愛らしいお子さんですね。私もたくさん次男ちゃんのようなお子さんとお会いさしてもらってますが、ほんとに眠るように可愛らしいお顔でビックリしました。

これは私の考えですが、お腹にいる時にママさんはたくさん話しかけてましたよね?そしてパパさんも、長男ちゃんも。そして笑顔が多いご家族だと思います。次男ちゃんは沢山の愛情をもらってたはずです。沢山愛情をもらったから幸せだったと思います。後49時間頑張れば家族と会えたのに最後の少しで満足してしまったかもしれませんね。胎盤を拝見させていただきました。ほんとによくここまで、頑張って成長したと思います。凄い生命力だと思います。それもご家族の愛情がしっかり次男ちゃんが感じてたからだと思います。

今は現実を受け止めることはできないと思いますが、この世に次男ちゃんが生きたという事を証明できるのはご家族です。ですので次男ちゃんの話をしてあげてください。それが供養にもなります。」

と、時間をかけて泣きながらケイコはゴリラに話してくれた。

 

続く

12回目

税理士との打ち合わせが終わって病院に向かった。

病室には現状を理解していない妻がいた。その横には次男がいた。本当に可愛い。。。。

少し話してから病院の事務員に呼ばれた

事務員「ご遺体が腐ってしまうので保冷室に運ばれた方がいい」

ゴリラ「わかりました。後5分時間下さい」

妻にその事をいうと理解してくれた。

 

次に遺体を焼いてくれる(表現が合っているのか?)場所を探した。意外にすぐに見つかった。

その足で申し込みをする為に行った。

書類に文字を書けなかった。というより書きたくなかった。涙が止まらない。

職員の方は静かに部屋から出て行きゴリラを1人にしてくれた。

終わった頃には長男の保育園に行く時間。

保育園に迎えに行ったら長男がいつも通りだった。内心ホッとした。

そのままママに会いに病院に。病室で長男を見たケイコはいつも通りだった。

夕食まで病院にいて帰宅して姉に長男を預けて仕事に。

そういえば何も食べてない事と眠い事に気づいた。

早めに帰るために、1週間分の業務の指示を書いたメモを事務所の机の上に置いてその日は帰った。

帰って姉に報告。姉と姪っ子はどこか責任を感じてるようで自分を責めているようだ。

責任も何も関係ない事を伝えた。

姉と姪っ子には凄く感謝してる。ほんに。

でも今ゴリラに自分の不安とかいうのはどうなの?っと思ってしまった。

そう思ってしまったので、早めに帰ってもらう事にした。

というより、そんな余裕はその時のゴリラにはなかった

 

 

続く

11回目

帰宅すると、ゴリラの姉と姪っ子が待っていた。数日前から出産に備え約1ヶ月家事の手伝いに来てくれてた。(その後姪っ子は保育士になりました)

心配そうな顔をして迎えてくれたがゴリラはとにかく疲れていたので寝たかったがやはり現場が気になりそのまま息子を預けて仕事に行った。

 

仕事の話で、

その年に5店舗経営と法人化を目指にしていた。

それまでは3店舗しかなくてその年は2店舗出店を予定をした。

その日はオープンしてまだ1ヶ月経たない店で、新入社員の面接中だった。

新店舗の店長は経験が浅く、心配になり現場に。

新店舗に着いたのは23時を回っていた。やはり現場が回ってなくて結局2時過ぎまで仕事をした。帰って姉と姪っ子に病院での経緯を話して終わったのが5時をまわっていた。

お風呂に入って寝ようとしても寝れない。ケイコからの連絡もない。結局寝ずに次の日の用意をした。次の日は個人事業主から法人成りの手続きをする為に税理士との打ち合わせだった。

これはキャンセルできない。いつも通り6時30分に長男が起きてきた。朝ごはんと保育園に行く用意は姉達がしてくれて保育園に。車の中で息子との会話がなかった。息子をみると窓の外をずっとみていたのを覚えている。

保育園について息子に、

ゴリラ「今日は迎えが遅くなるからね」

息子「わかった。ママに会える?」

ゴリラ「会いたい?」

息子「会いたい」

ゴリラ「できるだけお仕事早く終わらすからママに会いに行こう!」

息子「やったー!」

そう約束して税理士との打ち合わせに向かった

 

 

つづく